■ Pocoのライヴレポート



■ July 30, 2004, Barnstable County Fair, East Falmouth, MA, USA

Barnstable County Fair   Georgeが倒れた翌日は、マサチューセッツ州の東端に角が突き出たような形でくっついている半島ケープコッドの入り口あたり、日本でも有名な観光地マーサズビニヤードやナンタケット島に渡る船が着くFalmouthというところのBarnstable County Fairでのライブでした。
Springfield からは、東へ進み少し南下したあたりになります。前夜、デニスが「Ladies, あしたは十分時間があるから、朝はゆっくりしていていいよ」と言ってくれていたのですが、George のこともあり、気分は落ち着かず。夜遅くまでドロシーと、今まで誰ともしたことのないバンドのミーハーな話に盛り上がっておりましたが、それでも朝は早く目が覚めてしまいました。
  2時間くらいのドライブで到着するだろうと踏んでいたのですが、真夏の金曜、リゾートへ行く車の渋滞に巻き込まれ結局3時間半くらいかかりました。車中では、ドロシーの携帯電話にあちこちから連絡が入ります。Pocoのメーリングリストでは、いい加減な情報が流されたとか、ローカルのメディアのサイトでは、ステージで倒れているGeorgeの写真がネット上に配信された、とか。
  Rustyと一緒にいるMaryからは、Georgeの容態の報告があったり、今日もシャツ売り場で手伝って欲しい、という依頼があったり。Mary も、誰かとおしゃべりしたかったんだろう、と思います。Georgeの代わりのドラマーをどうするか、というのを知ったのもMaryからでした。
Tim Smithに連絡を取るとか、Richieと連絡を取って誰か探してもらうように依頼した、とか言っておりましたが、今日のライブがあるのは、都市部からかなり離れた陸の孤島みたいなところ(ちょっとオーバーだけど)、そうすぐには代役は見つからず、結局、地元のドラマーに急遽お願いした、とのことでした。
無理せずアコースティックでもいいのに、とも思いながら、その話を聞いておりました。ライブが中止にならないだけで、私にとっては十分うれしいのですから。
Schedule
  カウンティフェアの会場に着いたのは、3時前くらいだったと思います。
7ドル払って入場し、コンサートが行われるMain Stage を探し、アンプやらドラムやらが準備されているステージを見つけたのですが、デニスが「ここじゃないと思う。こんな場所じゃないはず」と言うほど、大きなステージでもなく座席もない、ただの草っぱらでした。
3年前私が行った、ミズーリのカウンティフェアとも、去年Richie Furay Fanさん(pocommittee のメンバー)がデニスと遭遇しているカリフォルニアのオレンジカウンティーフェアともまったく規模の違う、小さな小さな山の中のカウンティフェアなのでした。会場を一周しても10分も掛からない、という具合。
  そうこうしているうちにバンドが到着しました。
ドロシーがRustyに「昨夜はどうだった?」と聞くと、Rusty がふぅ、っとため息をついて「もう、あちこちからひっきりなしに電話が入ってさ、すごく大変だったよ」
  Rusty、Paul、Jackの3人は、自らギター類を車から降ろし、セッティングやチューニングを始めます。
シャイな感じの赤いシャツを着た若者が現れ、ドラムの前に座ります。
どうやら彼が地元のピンチヒッター君のようです。
リハーサルは、昨日の明るいビートルズナンバーとは大違い、小さな音を出しながら、3人はドラムを囲んで彼に合図を送りながら、音を確認していきます。
With Chuck
  天気だけは、昨日と同じく、とても気持ちがいい。フェア会場もすぐに見飽きてしまい、私は芝生の上に座りこんで彼らを眺めておりました。短期間だったのに、あまりにいろいろありすぎて、なんだか疲れてしまった。そういえば、明日はカリフォルニアに飛ぶんだったな。東海岸も今夜が最後だ。
Reharsal Apple Candy Kid playing
芝生に寝転んで・・・
お祭りの定番りんご飴
子供に寛容な大人達
  ライブ開始の7時30分が近づいてくると、今日は早々にT-シャツショップを オープンする、とのこと、金銭を扱う仕事をさせてもらえるほど英語に自信があるわけではないので接客は手伝いませんが、せめてと思って、並べるのを手伝いました。
あわせて、空き箱の裏側がGeorgeへのメッセージボードと化し、Mary とドロシーは昨日の出来事をぼちぼちと集まってきて、コーナーを覗いていくお客さんに説明しサインを求めていました。
Get Well George !
  ライブは、3人のアコースティックスタイルで始まりました。3人での演奏は、

01. Keep On Tryin'
02. Crazy Love
03. Bad Weather
04. Never Loved...Never Hurt Like This
05. Save A Corner Of Your Heart
06. Kind Woman
07. What Do People Know
Jack & Rusty   広い芝生の広場に人々が好きなようにくつろいで演奏を楽しんでいます。私は、まん前の真ん中の草の上に自分の場所をキープしました。気持ちのいい自然の中で、おしゃべりをする人々の声に邪魔されること無くPocoの演奏が、明るいうちは周りの木々に、暗くなると夜のとばりにちょうど良く共鳴しています。それは、どれほど精密に設計され高価な内装を施したコンサートホールよりも「いい音」。
すっかり酔いしれてしまいました。おまけは、ステージの屋根を走り回るリス。ぽっかりと浮かぶお月さま。ステージに興味を持って見上げる子供。その子供にやさしく微笑み返すJackとRusty。
Paul
  Rustyのおしゃべりもいつものように饒舌だし、演奏も昨夜とは比べ物にならないほどgood ・・でしたが、もともとスローな曲は、さらにスローに。アップテンポの曲もいつもよりスローに、という具合でした。きっと、Rustyの胸には、いままでのいろんなことが去来していたんじゃないかなぁ。17歳から一緒だった、というGeorgeとの40年に渡る日々のこと、今の4人になって4年目、このまま落ち着いて長くやっていけるだろう、という確信を持てていた昨今、10月には結婚という形で新しい生活をスタートする、ってことも。
Pocoは、何度もメンバーチェンジをしているけれども、事故や病気でメンバーを欠いたのは今回が初めての体験のはずです。代わりのドラマーを正式に迎える、なんてアイデアはまったく無いのだと思います。
  4曲め、Never Loved...Never Hurt Like Thisのあと、Rustyは、またも「ハァー」と大きなため息をついて、とても寂しそうな表情で、

I've gotta tell you it's great to be here with you all today. I wasn't sure we'll gonna make it. We played in Springfield last night. Our drummer George, who I play music with since we were both seventeen and hard time on stage last night here, here's the stroke.
He is in a hospital in Springfield. We decided come up here and play music anyway so we will give you our best, I promise you. And give me a favor thoughGeorge is really sweet guy. He is having really hard time.
So say will player for George, OK?
(今日は来てくれてありがとう。みんなに言っておかないといけないことがあるんだ。今日のライブ、本当はできるかどうかわからなかったんだ。というのは昨晩のスプリングフィールドでのライブで、ドラマーのジョージが17歳のときから一緒にやってきたヤツなんだけど、発作でステージで倒れてしまったんだ。今、スプリングフィールドの病院にいて、大変な状態の中でがんばってる。とにかく今日は、ライブをやろうと思ってやってきたんだ。がんばって演奏するから、約束するから。だから、お願いがある。ジョージは、とってもやさしい男さ、ジョージのために一緒に、祈って欲しい。OK?)
  8曲目が始まるときに、今日のヤングドラマーが登場しました。Rusty 「今日手伝ってくれるあそこのホットドックやさんとカマリやさんの間にあるもうひとつのステージで演奏してるバンドのドラマーを紹介します。Chuck Woodhamsです。バークリーミュージックスクールを卒業してるんだって?え、違うの?そう聞いたけど・・・。あ、ジュリアーノ音楽院だっけ?で、ドラムなわけ?」
Rusty のおじさんも、若い Chuck をリラックスさせようと、ジョークを飛ばします。
08. A Child's Claim To Fame
09. Pickin' Up The Pieces
10. Midnight Rain
11. You Better Think Twice
12. Call It Love
13. Rose Of Cimarron
14. Spellbound
15. Cajun Moon
16. A Good Feelin' To Know
Cajun Moon
  George のいないPickin' Up The Piecesも、物足りないと言えばそのとおりなのですが、雰囲気もすっかりなごみ、迫力の無いドラムも3人のカバーで全然気にならない。Jackは何度もドラムの方を向き、Chuckに合図を送ります。
  Midnight Rain! とリクエストの声が掛かったあたりで、
Rusty「今日はものすごく遠いところから来てるファンがいるよ。なんと、日本から。Don't tell her that the traffic was so tough............」
周りにいた人たちに「立って!」って促されたのですが、まあ手を振ったくらいにさせていただきました。
このRustyのMCのおかげで、終わってからワイオミングから今朝4時に出て来た、というカップルに声を掛けられましたが・・・。自分たちよりも遠くから来ている人がいたなんて、びっくりだって。
  全16曲。私のマサチューセッツPocoツアーは、これで終了。サイン会も無事終了、メンバーもすっかり安心し、リラックスした表情に戻り、突如としてお腹がすいていることを思い出したのか、みんなで出店の方へ「テリヤキ〜〜」と叫びながら、どどっと流れて行きました。私の方はすっかりお腹いっぱい、という気分でしだけれど。
  Maryが「ひとりで踊ってたでしょ?しっかり写真撮ったからね!」で「せっかく来てくれたんだから、バンドのみんなと写真撮れば?」と提案してくれて、Rusty, Paul, Jack + 私の4ショットが実現しました。Maryがシャッターを押してくれた。あとで見てみたら、3人のおじさんたちは私のうしろで子供みたいにはしゃいでおりました。
  今度彼らに会うのは・・・。絶対に日本がいい。それも成田空港、と本気で思った瞬間でありました。それまでGeorgeも元気になってくれてたらいい、とも。

つづく・・・


(All Text & photo by Ojai_girl)



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