■ Pocoの歴代メンバー



■ ジョージ・グランザム George Grantham

 1947年1月20日オクラホマ州コーデルの生まれ。Rusty Youngと共にデンバーのローカル・バンドBoenzee Cryqueで活動していたが、RustyのPocoへの参加をきっかけにGeorgeもPocoへと加入する事となる。 1968年のことだ。
 それにしてもGeorge程過小評価されているミュージシャンもそうはいないだろう。かわいそう過ぎる!なにしろ彼はRustyと共に残った結成以来のオリジナル・メンバーである(途中、脱退ー再加入を繰り返してはいるが)。さらには最初期にはリード・ヴォーカルでも結構フィーチャーされていたし、そのハイ・トーンのコーラスもPocoにはなくてはならないものだった。またドラマーとしても腕のたつ一流のプレイヤーである。あ〜それなのに、それなのに......曲を書かない上にドラマーだったというせいもあってその認知度は悲しい限りである。勿論、多くのPocoファンとメンバーに愛されているのは事実だが、アーティスト/プレイヤーとしての評価は満足のいくものではない。
 Georgeがいかに優れたアーティスト/プレイヤーかという事はミュージシャン仲間のあいだでの評判を聞くとよくわかる。Pocoのthe Troubadourでのデビュー・コンサートを見た、後にPocoのメンバーとなるPaul Cottonは「Georgeには本当に驚かされたよ、唄うドラマーなんてそれまで見たことがなかったし」と語っているが、これは当時のPocoのステージを見た人達に共通する感想らしい。
 実際のところ60年代後半の当時、唄うドラマーは珍しかったのかというと、実のところそうでもない。Buddy Miles, Ringo Starr, カントリー・ロック系ではGene Parsons (the Byrds)等いるにはいたのだが、いずれもリード・ヴォーカルがメインで常にプレイしながら唄っていた訳ではない。つまり、常にプレイしながら唄っている、それも完璧なハーモニーを聞かせる上にドラムもうまいという事が多くの人達を引き付けた要因だったのだろう。
 ドラムのうまさに関してはあのNeil YoungがPocoのステージを見て「なんとしてもあのリズム・セクションが欲しい」と言ったという逸話がある。実際、Neilはソロ・デビュー作、「Neil Young」をGeorgeとJim Messina (bass)のリズム・セクションでレコーディングしている。アルバムにはクレジットがなかったのだが後に2000年にReissueされた「Old Ways」のなかでクレジットして感謝の意を表明した。NeilはよほどGeorgeのドラムが好きだったとみえ、2枚目からのバック・バンド、Crazy Horseのドラマー、Ralph Molinaも唄えるドラマーでGeorgeとよく似たスタイルのドラミングをする人だった。
 また「From The Inside」のプロデューサー、Steve CropperもGeorgeのドラミングを「カントリー・ロックのドラマーとしてはグルービーでタイトなビートを刻む名手だと思う」と述べているし、元キング・クリムゾン(!)のドラマー、Ian Wallace(この人も唄います)も「とても印象に残っている」と話していた。
 元the ByrdsのChris HillmanもGeorgeのドラミングを高く評価する一人で「バンドのメンバーになって欲しかったくらい」好きだったと語っていた。その言葉通りChrisがプロデュースした元Flying Burrito Brothers, 後にFirefallのメンバーとなるRick Robertsのセカンド・ソロ・アルバム「She Is A Song」(1973)のドラマー(とコーラス)はGeorgeである。(Rustyも参加)
 Poco在籍中のGeorgeはその地味な印象とは裏腹にPocoサウンドの要、バックボーンとして重要な役割をになっていた。
 ヴォーカリストとしては初期はRandy Meisnerが唄うはずだったパートを一手に引け受け、またリード・ヴォーカルでもかなりフィーチャーされていた。
 中期以降にはTimothy B. Schmitと共にハイ・テナーのコーラスを駆使してPocoのハーモニーを特徴づけていた。その甲高いとさえいえるハイ・テナー(もはやソプラノの域か?)のヴォーカルはRichie FurayとTimothy B.の唄う音域よりもさらに上を行く凄さで、あの声こそがPocoのハーモニーのPocoらしさの象徴だった。
 ちなみにアルバム「Indian Summer」に収録されていた「The Dance」組曲のなかの「Never Gonna Stop」ではGeorgeの物凄いヴォーカル・ソロがきける。ディスコ・ビートのこの曲での彼はさながら黒人のファルセット・ヴォイスのごときハイ・ノートでリードをとっているのだ、それもグルービーなディスコ・ビートを叩きながら!
 ドラマーとしては初期のカントリー・タイプのライトでタイトでフット・ストンピンなスタイルから「From The Inside」を境によりヘビーでタメのききまくったロック・タイプへと変貌していく。この変化がPocoのサウンド変化とシンクロしている点でも彼のPocoサウンドへの貢献度がわかると思う。
 ところで1977年のPocoからの脱退はTimothy B.に続いてだった訳だが、その理由もまた悲しい。RustyとPaulによるCotton-Young Bandには誘われたものの、その扱いがサポート・メンバーというもの!元メンバーなのに!しかもオリジナルだぞ!これでは君はいらないと言われているのと同じじゃんっ!これを容認するはずもなくGeorgeは脱退してしまった訳だ。つ、つらい.......
 しかしGeorgeはめげない!Poco脱退後の1978年にはMcGuinn, Clark & Hillmanのオーストラリア・ツアーに参加、その後にはthe Secretsというバンドに参加しているが、このバンドの正規の音源リリースはない。続いて1980年にはカントリー・シンガー、Ronnie McDowellのバンドに参加、以降ナッシュビルのカントリー・シーンで引っぱりだこになっていく。
  1982年にはまず元Emmylou Harris & Hot BandのRicky Skaggsのバンドに加入、ツアーと共に「Highways & Heartaches」(1982), 「Don't Cheat In Our Hometown」(1983), 「Country Boy」(1984),「Favorite Country Songs」(1985)と4枚のアルバムに参加。
  1986年にはPocoに一時的に復帰(というよりはヘルプですな)したがすぐに脱退、その後ギタリスト/シンガーのSteve WarinerのBandに加入、「It's A Crazy World」(1987)、「I Should Be With You」(1988)、「I Got Dreams」(1989)といったアルバムにも参加している。(Steveのデビュー作「Steve Wariner」(1982)にバックグラウンド・シンガーとして参加したのがきっかけ)。その他、女性カントリー・ポップ・シンガーのSilviaのアルバム「This Is Silvia」でもプレイしていた他、想像以上のカントリー系のセッションをこなしていたようだ。
 1989年にはPocoがオリジナル・メンバーで再結成されるが、この「Legacy」のアルバムではドラムも叩かず、唄も唄っていない。お声がかかったのも一番最後でそれも「オリジナル・メンバーでの再結成」にこだわったのが理由。その結果、ツアーでも唄ったのは古い曲をやったアコースティック・セットでのみ。そのうち人知れずフェード・アウトしてしまった。つ、つらい........
 しかしGeorgeはけっしてめげない!1993年にはFlying Burrito Brothersにも参加 (アルバム「Eye Of A Hurricane」のレコーディング直前に脱退)、これでPoco, the Byrds((McGuinn, Clark & Hillman)そしてFlying Burrito Brothersと3つのカントリー・ロックの名門バンドのメンバーとなる快挙?も果たしているが、ただ残念なことにこれらの正規の音源は残されていない。なんという不運さ!もし、レコードが発売されていたらGeorgeの評価もまた違ったものになっていたかもしれないのに。
 1998年には自身のバンド、Hooplaを結成、同年アルバム「Always Something」(spoon CDC-02)を発表し話題となったが、カントリー色は薄く、むしろストレートなRock Bandといった感じのサウンドだった。残念ながらこのバンドはこれ1枚で解散、2000年にPocoへと再復帰している。
 結構ヒドイ扱いを受けつつもPocoに一時的に復帰し、最終的にはメンバーとして再加入しているのだから彼も人がいいというか、やっぱりPocoを愛しているんだろうなぁ〜。静かでおとなしい良い人という評判は本当なんですな。
 わたしはGeorgeの存在を知って人生が大きく(?)変わってしまったという経験の持ち主なので彼の評価の低さに必要以上に憤慨してしまうのだが、 それを抜きにしても彼はカントリー・ロックの"唄えるドラマー"の最高峰であるという確信めいた思いがある。ここらで彼、George Granthamの再評価をするのもいいのではないだろうか。
 最後になったがコンサート中に倒れて入院、現在は退院して自宅で療養中というGeorgeだが、病状は快方に向かいつつあるという。一日も早い復帰を願うとともにここに彼の為のベネフィット・ファンドのインフォメーションを記載しておく。
George Grantham Benefit Fund
ACCT. #1000014261928
SUNTRUST Bank
1026 17th Ave. South Nashville, TN. 37212
Routing #061000104

(Nose Of Cimarron)



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