■ Pocoのディスコグラフィー



■ Running Horse (2002)

Running Horse

01. One Tear at a Time (Young) 03:02
02. Every Time I Hear That Train (Cotton) 04:28
03. If Your Heart Needs a Hand (Young) 04:59
04. Never Loved...Never Hurt Like This (Sundrud) 03:47
05. Forever (Young) 03:31
06. Never Get Enough (Bickhardt/James/Sundrud) 03:07
07. If You Can't Stand to Lose (Cowan/Young) 04:15
08. I Can Only Imagine (Cotton) 05:09
09. Shake It (Sundrud) 04:54
10. That's What Love Is All About (Fuller/Young) 03:45
11. Running Horse (Cotton) 04:07

■ アルバムレヴュー

  企画盤『Forgotten Trails』を経由したとはいえ、メジャーからのアルバムリリースがないまま13年もが過ぎてしまった。その間Pocoの構成員は極めて流動的ではあったが、演奏活動だけは地道に続けていた彼らだった。そんな中、このニューアルバムが発売される情報を得て思わず顔が緩んだのは私だけではなかっただろう。
Pocoの看板を掲げていたRustyと来日の叶わぬPaulの二人に加えて、元の鞘に納まったGeorgeと、サポート的な立ち位置にいたJackは、この『Running Horse』でPocoのバナーにその名を連ねることになった。
  デビュー当時の彼らの持ち味であったRichie、Jim、Timothyによる"声の近似値"は、メンバーの変遷と共にその形を変えた。本作では、太く"通る"声のPaul、ハイテナー・パートには欠かせないGeorge、甘く人なっつこい声のRustyに、ハスキー・ヴォイスの持ち主であるJackを加えた4人がPocoのフロントラインを飾る。
  静かに始まるRustyの作品「One Tear at a Time」。ストラトキャスターの中間音を基調とした心地良いミドルテンポに、本作のPOPな方向性が示されている。
軽快にPaulが歌い始める2曲目の「Every Time I Hear That Train」では、原風景の中で自らを省みるテーマが盛り込まれた作品。Rustyのバンジョーを聴けて一安心。
3曲目のRustyの叙情詩「If Your Heart Needs a Hand」は、盟友Craig Fullerのサポートを得たナンバーだ。
標題曲を含む全11曲の内、独特のカラーを持つJackのオリジナル3曲は、バンドのサウンドそのものにも変化をもたらしている点が非常に興味深い。そのJackが歌う4曲目の「Never Loved...Never Hurt Like This」では、イントロのアコースティックギターをバックに、力を抜いたRustyのマンドリンがキーボードと共にJackの声を際立たせる役割を担っている。
5曲目の「Forever」が、このアルバム中最もCotton-Young Pocoらしい作品だろう。Rustyのラップスティールは、サスティーンを抑えながらも『Legend』から通じるPocoのAORテイストを醸し出す。Rustyの旧知であるBill Loydも参加。
再びJackのラヴソングである6曲目の「Never Get Enough」では、Georgeの堅実なドラミングにRustyのスティールがワウを効果的に利用している。それにしてもJackのベースは、本当にギター弾きのベースだ。
The Sky Kingsの同僚でもあったJohn Cowanは、New Grass RevivalやDoobie Brothersでの活動があまりにも有名だが、7曲目の「If You Can't Stand Lose」は、そのJohnとRustyの共作ナンバーで、自らも目立たぬようバックコーラスに参加している。
再びストラトの3連にマンドリンがかぶる導入部の8曲目が「I Can Only Imagine」。溜め込んだ運指のフレースとそこから醸し出されるサウンド、そしてナチュラル・ディストーションがいかにもPaulのギターだな、と感じさせられる。ここでもThe Sky Kingsつながりで、Bill Lloydがギターで参加している。
今迄のPocoでは絶対に考えられなかったナンバーがその後に来る9曲目、Jackの「Shake It」。提供する楽曲の曲調は異なれど、その根底にあるものが軽快であることは、そのスタンスこそ異なれJackがPocoのメンバーとして長く活動している証でもあるのではないかと思う。
Country Rockを標榜し、現在もPoco同様活動を続けているPure Prairie League、その発起人であるCraig Fullerが再びコーラスにも参加し、CraigとRustyの合作である「That's What Love Is All About」は、味わい深いバラードに仕上げられており、Rustyのペダル・スティールが逸品であることを認識させられる佳曲だ。
ラストの表題曲「Running Horse」がこのアルバムの付加価値を高めている。いかにもPocoらしいサウンドにのせ、疾風の如く駆ける馬に自らを重ねたそのテーマは、『Legacy』所収の「When It All Began」とは別次元であるが、Paulの、そしてこのバンドの単に懐古的ではなく"走り続ける決意"の表れだろう。「Indian Summer」同様、ここぞ!という時に挟み込まれたRustyのシタール・バーを使ったスティール・サウンドが絶妙。
  RustyがJohn Cowan、Bill Llyodと共に、別側面からCountry Rockへアプローチを行なったThe Sky Kingsは、そのスタジオワークに膨大な時間を費やしたにも関わらず、長らく陽の目を見ることがなかった。その秀逸な作品群を盛り込んだ銘盤『From Out of Blue』は、Rhino Handmadeの手によってその全貌を現すことになったのだが、本作『Running Horse』をその延長線上に位置付けられる。そして、この2枚を聴き比べることでCountry Rock進化論の一端に触れることができると思う。
  新生Pocoは殆どアウトテイクがなかったといわれているこのアルバムで息を吹き返し、再び活発な走り(動き)を見せ始めた。

(Poco_Riders)



INDEX