■ Pocoのディスコグラフィー



■ Legacy (1989)

Legacy

01. When It All Began (Furay/Krizan/Pasch/Sellen) 03:36
02. Call It Love (Crain/Guilbeau/Lonow/Messina) 04:17
03. The Nature of Love (Silbar/Stephenson) 04:03
04. What Do People Know (Young) 03:52
05. Nothin' to Hide (Gaitsch/Marx) 05:12
06. Look Within (Messina) 05:03
07. Rough Edges (Foster/Lloyd/Young) 03:08
08. Who Else (Noble/Young) 04:01
09. Lovin' You Every Minute (Brady/Messina) 03:10
10. If It Wasn't for You (Furay/Sellen) 04:16
11. Follow Your Dreams (Messina) 02:56

■ アルバムレヴュー

  どうしてなんだろう、と考えてしまいました。1980年の"Under the Gun" の後、私の中でPocoがポコっと抜けておりました。いったい何をしていたんだ、と自分のことを振り返ってもみましたが・・・。ま、そんなことはどうでもよい。とにかく、89年にPocoがニューアルバムを出す、それも、リユニオンで 大好きなJim Messina、Randy Meisnerがいるというニュースを聞いたとき、小躍りしてワクワクしたのをよおおおく覚えております。

JimもRandyも充電してた、といえば今風ですが、特別どうという動きをしていない80年代後半だったわけですが、POCOの方も、84年に"Inamorata" をリリースした後、いったん解散したとか、休止状態に入ったとか、言われております。で、ちょっと調べてみたところ、85年にJack が加入し、その後、Legacyがリリースされるまでの間、ちゃんとライブは、やっていたようです。つまり、どこかに区切りがあったわけではなくソロ活動や、他の人のバック参加などの機会が増えていっている中でも、Pocoは存在していた、というのをここで書いておきます。強いて言えば、87年は夏場に計10回程度のライブをやっていただけのようで、周囲に「Pocoは解散しちゃったのかな」と思わせるような状況だったようです。どうやらこれには、レコード会社との契約終了の絡みがあったり、一時George Granthamが抜けたりしていたこともあったようです。

面白いのは、85年から87年にかけて今と同じメンバー構成の4人でライブを行っていることですね。ピンチヒッターだったJackがギターに代わったりしながらもあれから19年、ずっとPocoにいる、というのはちょっとした運命的な出来事、って思います。Rustyはライブで「一番新しいメンバーのJack」と彼を紹介します。もちろん今でも。で、去年は18年在籍するNew Member、今年は19年在籍するNew Memberと言って笑いを取ってはおりますが。

さてそんな中で、JimとRustyが出会ってPocoの話をしたのは89年はじめにレコーディングを始めたということで、きっと88年のことでしょう。きっとどちらともなくPOCO再開の話をし始め「オリジナルメンバーでやりたい」と言ったのはJimのようで、すぐにみんなに電話をかけたのはRustyのようです。そうやってきっとあったであろう紆余曲折を経て集まったメンバーは、Jim Messina、Richie Furay、Rusty Young、Randy Meisner、George Granthamの5人でした。

実はこのアルバムは、LPとCDとミュージックテープと同時に発売されており,、LPとCDの曲順及びCDの方が1曲多いというニクイ演出がなされております。言い換えるとLPからCDへの切り替わりの時期だったと言えるわけです。
以下はLPの曲順で紹介していきます。


Side A
WHEN IT ALL BEGAN
明日への旅立ち
Lead Vocal; Richie Furay
Music by; S. Pasch/M. Krizan
Lyrics by; R. Furay/S.Sellen

1曲目、日本語タイトルは、「明日への旅立ち」となっているが、本当は「すべてが始まったのはいつだったかフラッシュバックするように覚えているよ」という歌詞であります。Richieは、この曲を歌いたいがためにPocoのメンバーとして参加したのだろうと私は思います。Randyの一部Richieの声にかかる部分でのコーラスがとてもRichie の声と合っていて、もっと聴きたいという気分にさせます。声質が似てるけれど、Randyの方がちょっと骨太ですね。そのRichieですが、結果的に本業の教会の仕事が忙しいとアルバム完成後もPocoの仕事は半年くらいしか参加しないことになり、91年の来日ツアー時にも参加はなしでした。結局今の今まで日本に来たことは無い・・・。

CALL IT LOVE
コール・イット・ラヴ
Lead Vocal; Rusty Young
Music and lyrics by; R.Guilbeau/B. Crain/R. Lonow/J. Messina

PocoらしいRustyが歌う一曲です。Jimも参加し作った曲をRustyが歌っているわけですね。でも私にとってこの曲は、やはり2004年7月29日のマサチューセッツでの野外ライブ中に、演奏途中でGeorgeが倒れた時の曲、ということで強い印象に残ってしまっています。

THE NATURE OF LOVE
ネイチャー・オヴ・ラヴ
Lead Vocal; Randy Meisner
Music and lyrics by; J. Selbar/V. Stephenson

さて、オリジナルメンバーが集まったはずのLegacyですが、実はPocoにとって初めてのボーカリストとしての曲になったRandyのボーカルナンバーです。この曲は80年代前半に出されたRandyのソロアルバムに収められている曲の延長線上にあると言えると思います。聞きなれているRandy のボーカルだから違和感は無いのですが、Pocoのナンバーとして考えると異質ではないか?と議論が分かれるところとなります。そしてなぜに、TimothyでなくRandyだったのか、って。

WHAT DO PEOPLE KNOW
流れのままに
Lead Vocal; Rusty Young
Music and lyrics by; Rusty Young

Call It Loveに続きPocoらしい、Rusty のとてもきれいな曲です。サビのコーラス部分にPaulの声が欲しいと思うのは、ファンの無いものねだりだわ。エンディングでかぶってくるアコースティックギターは、Jimならではの音色、ぜひお聞き逃しなく。

FOLLOW YOUR DREAMS
夢を追いかけて
Lead Vocal; Jimmy Messina
Music and Lyrics by; Jimmy Messina

LPのA面ラストでCDではオーラスの曲は、首のうしろがくすぐったくなるようなJimの人生賛歌です。1996年に、Jimが出したセルフカバーアルバムにも収録されていますが、Pocoのコーラスに勝るものは無い、とどう評価してもLegacy Versionに軍配!です。でも実は、ここにJimの苦悩みたいなものも感じてしまうのです。Jimはライブで「僕の声は特殊だから、誰とでも合わせられるっていうものじゃないんだ」と語っていましたが、Poco にいると、Rusty もGeorgeもJimのバックコーラスに甘んじてしまう。だから、押さえ気味にしようと思っているけれど、やはりパワーバランス的にはどうしてもJimの方が強く、イヤでもいつも真ん中にいてしまう。Rustyにもっと活躍させたいというのと、Jimがもっと自分の好きな曲を演りたい、というのとのジレンマ・・・・。そしてそれが、LegacyでのPocoが、短期であった理由なのではないかと思っています(それでも足掛け3年続いたのはすごい。)



Side B
ROUGH EDGES
ラフ・エッジズ
Lead Vocal; Randiy Meisner
Music and lyrics by; R. Young/R. Faster/B.Lloyd

***訳あって、後述。

NOTHIN' TO HIDE
ナッシン・トゥ・ハイド
Lead Vocal; Randiy Meisner
Music and Lyrics by; R. Marx/B. Gaitsch

CDでは5曲目に配置されているこの曲は、この曲のみRichard Marx作曲、プロデュースとなっております。"The Nature of Love" では「何故ここでRandyなの?」と思わせたRandy Meisner登場も、完成度の高いこの曲を聴くと、思わず引き込まれてPocoのアルバムにこだわっていたことを忘れてしまいます。

そして・・・
LPにないCDのみ収録の1曲が、ここに入ります。

LOOK WITHIN
ルック・ウィズイン
Lead Vocal; Jimmy Messina
Music and Lyrics by; Jimmy Messina

これがまた素晴らしい。辛いときや悲しいときも心を開いて近くに友達がいることを思い出して、とうたっています。Pocoというあたたかい形ある何かのその中を見つめて、というPoco に贈る賛歌。美しいPocoコーラスが、Jimのボーカルを引き立てています。LPには入れずにCDだけというのもJimって意外と控えめだ、と思うのです。

ROUGH EDGES
ラフ・エッジズ
Lead Vocal; Randiy Meisner
Music and lyrics by; R. Young/R. Faster/B.Lloyd

LPヴァージョンでは、B面1曲目、CDでは7曲目になるRandyのリードボーカルナンバーです。後半スティールギターがふんだんにフィーチャーされるカントリータッチのごきげんなナンバーが力強いRandyのボーカルで躍動感いっぱいです。というわけで、ここまでの3曲、Nothin' To Hide, Look Withinとこの曲でLegacyの「山」を作っていると思います。ああ、Randyでよかったんじゃない、Timothy だったら、こういう盛り上がりにはできなかった。Timothyが他の理由で参加しなかったから、Randyになったのか、もともとJimはRandyを想定して「オリジナルメンバー」と言ったのかはわかりませんが、Randy大好きの私としては、どうか身体を大事にして、Randy のよさを引き出せるサポーターのもとでもうひと花咲かせて欲しい、と願わずにはおれません。この曲はその後Rusty が歌ってライブで演奏しています。ラップスティールが存分に聴けるのが嬉しい。また演ってね。

WHO ELSE
フー・エルス
Lead Vocal; Rusty Young
Music and lyrics by; R.Young/M. Noble

上記でちょっとPocoなのを、忘れてしまっているときに、またPocoらしいRustyのラブソング。

LOVIN' YOU EVERY MINUTE
ラヴィン・ユー・エヴリ・ミニット
Lead Vocal; Jimmy Messina
Music and Lyrics by; J.Messina/M.Brady

Jimのパワフルなナンバーです。実はこの曲、1981年に出たJimのソロアルバム2枚目"Messina"のB面の1曲目と同名同詞異曲です。Legacyの新しい方はビートのきいたロックの仕上がりですが、古い方はラテンっぽいリズムの、AOR風の出来になっています。全然違う曲です。何故ここでJimは作り直しをしたのか、いつか聞いてみたいポイントです。機会があったらぜひ聴き較べをしてみてください。

IF IT WASN'T FOR YOU
フォー・ユー
Lead Vocal; Richie Furay
Music and Lyrics by; R. Furay/S.Sellen

LPラスト(CDでは後ろから2番目)は、Richieのナンバーです。せつない終わり方が「もういいよ。またいつでも会って一緒にやろうよね。形はどうであれ、Pocoはみんなの心の中にあるんだからね・・・・」と言っているような気がします。



1989年から1991年にかけてバンドになったり、アコースティックになったり、Richieが抜けてPaulが入るのかと思ったらJackがギターで加わったり、いろいろとありながらもJim、Rusty、Randyが中心になり、新生Pocoは、一定の成果を収めます。そして、ここに収められた曲もこの後もずっと演奏されていくようになります。文字通り"Legacy" になりました。

あれから15年、80年代になんとか解散状態を逃れてきたPocoも90年代に入って否応なしに「これが最後のライブ」と宣言しないといけない時期もあったようで(The Sky Kings のクラッシュ?で半年後にはもうRusty + Paul +othersで再開したのですが・・・)、80年代以上の困難な時期であったようです。でもLegacyで再会した仲間たちは元気で、この空の下のどこかで歌っている、という「想い」をみんな持ち続けていたのでは、と思います。元気でいれば、歌っていられる。

あれから15年、2004年Jimがかなり久しぶりにライヴシーンに頻繁に登場するようになり、RichieもPocoのライブに参加することが多くなり、一気にre-unionの気風が高まってきました。
また♪We sing together "Good Feelin’ to Know" ♪
(Ojai_girl)



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