■ Pocoのディスコグラフィー



■ Cowboys & Englishmen (1982)

Cowboys & Englishmen

01. Sea of Heartbreak (David/Hampton) 03:38
02. No Relief in Sight (Bourke/Dobbins/Wilson) 03:05
03. There Goes My Heart (Cotton) 03:06
04. Ashes (Young/Logan) 03:00
05. Feudin' (Young) 02:15
06. Cajun Moon (Cale) 03:58
07. Ribbon of Darkness (Lightfoot) 03:02
08. If You Could Read My Mind (Dubby/Edwards) 03:51
09. While You're on Your Way (Hardin) 03:41
10. The Price of Love (D&P Everly) 03:31

■ アルバムレヴュー

 リアルタイムでこのアルバムを新譜として購入した私が当時驚いたことは、まずジャケットを手に取って、お馴染みの馬やホースシュー(馬蹄)ロゴのデザインが配されていないということ、アルバムタイトルが実に意味ありげな「カウボーイとイギリス人」であったこと、レコードに針を落として聴いてみたところ、Pocoのオリジナルの楽曲が、わずか2曲(正確には3曲)しか収められていなかったことだった。
  見慣れたロゴがないのは、変革の表れであるかとも解釈できるが、アルバム名と収録されている楽曲の関連性がどうにも理解できない。しかも、前作「Blue & Gray」がPocoにとっては大胆且つ実験的な試みでもあったコンセプトアルバムだっただけに、本作のタイトルと収録された10曲との接点をどうにかして見出そうとしたが、結局白旗を揚げざるを得なかった。意味ありげなお題目については、3人のカウボーイ(米国人)と2人の英国人による作品という単純な理由でひとまず自己完結。
  肝心の内容だが、Poco初のカヴァー集と断言して良いメニューは、その真意を測りきれずにいたままであったが、Rustyがインタヴューで「自分達が成長過程にある段階でよく聴いた人達の楽曲をまとめてみたい」と述べていたことで、彼らなりのトリビュート・アルバムとして製作に臨んだと理解ができた。
  Loggins&Messinaが『So Fine』で取り上げた名曲「Oh, Lonsome Me」の作者としても知られるDon Gibsonのヒットナンバーとして知られる「Sea of Heartbreak」から始まり、「No Relief in Sight」へと繋がるわけだが、古い楽曲で、なるほど彼らのルーツだなと頷ける。
 3曲目の「There Goes My Heart」は、RustyのPedal Steel Guitarによるイントロを聴いた瞬間に「こりゃ間違いなく、どう考えてもCountry & Westernのスタンダード・ナンバーだろう」という甘い読みは見事にハズレるわけで、意外にも唯一のPaulオリジナル。ただ単にPocoレシピ通りではなく、彼らなりの味つけがピリッと効いたオールド・カントリー・クッキングとしてサーブされている。
 Rustyの手による「Ashes」〜「Feudin'」はPocoならではのメドレーだ。『Cantamos』の「Sagebrush Serenade」や『Rose of Cimarron』の「Company's Comin'〜Slow Poke」で見せるこのバンドが持つ最大の魅力であるCountry Rockin' Grass(とあえて呼ぶ)は、Pocoファンなら誰でも安心する展開だろう。
 「さてB面を」という楽しみがないのがCDの悲しいところ、何故なら制作者側の意図的な配慮がなされている重要なポイントであるからだ。本作にしても然り、Pocoならではのカラーで終わったA面を裏返すと、また新たな物語の始まりがそこにある。
 これは驚き、『Crazy Eyes』所収の「Magnolia」に続くJ.J. Caleの作品「Cajun Moon」なのだ。現在のPocoがこの2曲をよくライヴでも演奏していることが、いかにCaleが彼らのFavorite Musicianであるかということが推し量れる。Paulのスワンプな歌唱は、こういったナンバーにも極めて有効だ。
 続くは、Countryの大御所Marty Robbinsも取り上げたカナダの超有名シンガー・ソング・ライターGordon Lightfootの「Ribbon of Darkness」。間奏のドブロに絡むシンプルなギターやエンディングのバンジョーには思わずホッとさせられる。
 これぞSho-BudのサウンドだといわんばかりのPedal Steel GuitarをバックにPaulが歌う「If You Could Read My Mind」は、Kimのピアノが実に印象的。
 「While You're on Your Way」の作者Tim Hardinは、フォーク、ブルース、ジャズと多方面で60年代に活躍した東海岸のシンガー・ソング・ライターだ。
 アルバムの最後を飾る「The Price of Love」は言わずと知れたEverly Brothersの作品だが、60年代半ばにイギリスでヒットした点が興味深い。
このカヴァー・アルバムが縁起の良いMCAからのラストアルバムとなってしまったことは、本作のセールスが成功だったとは言い難い事実だ。新天地を求めた彼らが、わずか7ヶ月後にアトランティック移籍後の新作『Ghost Town』をリリースすることになるのだが・・・。
(Poco_Riders)



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