■ Pocoのディスコグラフィー



■ Rose Of Cimarron (1976)

Rose of Cimarron

01. Rose of Cimarron (Young) 06:42
02. Stealaway (Young) 03:12
03. Just Like Me (Schmit) 02:45
04. Company's Comin' (Young) 02:39
05. Slow Poke (Young) 02:04
06. Too Many Nights Too Long (Cotton) 05:59
07. P.N.S. (When You Come Around) (Cotton) 03:15
08. Starin' at the Sky (Schmit) 02:58
09. All Alone Together (Cotton) 03:21
10. Tulsa Turnaround (Cotton) 02:40

■ アルバムレヴュー

  バンドの在り方として2種類ある。カリスマ性を持つ人物や、ルックスやステージングに才能を見せる人物など、スター性のあるメンバーを看板にしたバンドと、際立った看板スタ−はいないものの、バンドとしての方向性を明確にすることにより、高いポテンシャルを示すバンドだ。後者から前者へ移り変わる場合は稀にはあるが、基本的に相交わることのない在り方であろう。
  Pocoはその初期のころ、Buffalo Springfield出身のRichie FurayとJim Messinaという2枚看板でスタートし、時代の流れでもあったカントリーロックの確立に貢献するという形で一定の成果を得た。しかしながら、その後看板であるJim Messinaが70年に、Richie Furayが73年に脱退し、Pocoは2枚看板を失うことになった。普通のバンドならここで解散となるが、残った4人のメンバ−は結束を固め、バンドを継続していくことになる。この後4人はアルバム6枚にもわたりメンバ−チェンジすることなく、安定したアルバムを発表していく。スタ−性に頼らず4人で方向性を固め作り出していくサウンドは、正に一作毎に円熟味を増していくのだが、この4人になってから5枚目(通算11枚目)にあたるのが、本作『Rose Of Cimarron』である。
 プロデュースは前作同様Mark Harmanが担当しており、サウンド的にも前作を踏襲していると言っていい。Paul CottonとRusty Youngが4曲づつ、Timothy B. Schmitが2曲で合計10曲の構成だ。Rustyは、この4人体制になってから積極的に楽曲を提供しするようになり、それがPocoの新しい魅力のひとつになっている。ゲストとしては、フィドルやサックスで6曲に参加しているAl Garthが注目されるところだろう。
  アルバムはRusty作「Rose Of Cimarron」で幕を開ける。カントリーセンス溢れるポップな楽曲だが、Paulのギターやハイトーンボーカル、後半のアレンジなど聴き所の多い曲だ。特にエンディングのオーケストレーションは、ひとつの抒情詩を読み終わったような印象を残す事に成功している。アルバム冒頭に相応しいスケールの大きなアレンジが勝因。
  「Stealway」もRusty作だが、リードボーカルはTimothy。弾むような軽快な歌い方が曲のイメージをいっそうポップなものにしている12弦ギターの響きが心地よく、また、さりげなくバンジョーを配しているのも嬉しいアレンジだ。
  Timothyのボーカルが続くが、「Just Like Me」は彼自身の作。転がるように絡みつくPaulのギターに甘いTimothyのボーカルがぴったり。可愛い小品といった風情。
  カントリー色が強いのがRusty曲「Company's Comin'」とメドレーになっている「Slow Poke」。さすがにこのテの演奏は堂に入ったもので、余裕を感じさせる演奏だ。また、得意のハーモニーもバッチリ。特に「Slow Poke」では、Rustyがドブロ、ペダルスティールと大活躍で、彼のテクニックを楽しみたい人達の期待に十分答えてくれている。また、フィドルのAl Garth、バンジョーのJohn Loganのサポ−トも必聴。
  後半に入り、初めてPaul作の曲がお目見えする。「Too Many Nights Too Long」は、凝ったイントロをもったエキゾチックなメロディーの曲だ。曲のムードをマンドリンやガットギターで演出している点も見逃せない。この曲でもAl Garthのフィドルがいい味をだしている。決して複雑な曲調ではないが、後半でハーモニーアレンジに変化をもたせたり、さりげなくピアノを入れたりすることで、曲が単調になることを防いでいる。
  「P.N.S.(When You Come Around)」もPaul作。この曲のメロディーもカントリー色が強いが、あえてオールドスタイルの曲調に合わせたアレンジにしているような印象を受ける。それにしてもPaulの太い声は、高音でも十分魅力的で、カントリー歌手として考えても頷ける歌唱力だ。
  続くTimothy作「Starin' At The Sky」は、流れるようなメロディーが美しい曲。透明感あふれるTimothyのボーカルが驚くほどマッチしており、このアルバムの隠れた名曲となっている。アレンジはシンプルで、ベースとキーボード以外はアコ−スティック楽器のみ。ギター、マンドリンといった、楽器の生音の魅力を最大限に活かしたアレンジだ。ソロ部分にサックスをもってきたのが新味。兄弟バンドとして何かと比較されるEaglesとの違いを認識させられるアレンジでもある。
  「All Alone Together」はPaul作。この人は、どこか懐かしくなるようなメロディを書くことがあり、それが大きな魅力でもあるのだが、正にそういった曲だ。ツボにはまりすぎのAl Garthのフィドルや、これしかない、という感じのスティールギターがますます回顧調メロディを煽る。
  締めくくりはPaulのペンによる「Tulsa Turnround」。アーシーなリフをベ−スに、変化を加えたり、若干の歌詞を加えた曲。歌詞はあるが、実質はインストと考えるべき曲で、Rustyのドブロが存分にフィーチャーされている。
 このアルバムの素晴らしいところは(4人で活動していた時期全てに当てはまるのだが)、カントリーとロックのブレンド具合が絶妙だということに尽きる。最も安定していた時期だけに演奏にも余裕があり、何度聴いても飽きがこないアルバムだ。この絶妙なバランスも、思わぬことで次作が最後になってしまうのだが、中期Pocoを代表するアルバムであることは間違いない。

(Good Company)



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