■ Pocoのディスコグラフィー



■ Head Over Heels (1975)

Head Over Heels

01. Keep on Tryin' (Schmit) 02:54
02. Lovin' Arms (Young) 03:29
03. Let Me Turn Back to You (Cotton) 03:37
04. Makin' Love (Young) 02:55
05. Down in the Quarter (Cotton) 04:32
06. Sittin on a Fence (Young) 03:31
07. Georgia, Bind My Ties (Cotton) 03:25
08. Us (Young) 01:56
09. Flying Solo (Brennan, Schmit) 03:36
10. Dallas (Becker, Fagen) 03:29
11. I'll Be Back Again (Schmit) 03:02

■ アルバムレヴュー

 デビュー以来住み慣れたエピック・レーベルを離れABCレーベルからリリースされた記念すべき第1弾アルバム。タイトルどおり、まさにその衝動的サウンドの面白さを前面に出した1975年の佳作である。プロデュースはザ・バンドでエンジニアを務めた Mark Harman。
 75年といえば、西海岸系ロックを筆頭にアメリカン・ロック全体のまさに全盛期が始まる時期であり、音楽産業自体も80年代以降のような極端な商業主義(C・デイヴィスが率いたアリスタ・レーベルのようにすでにそれを先取りしていた例も、あるにはあるのだが)に走る前のことである。それが故か、本作は牧歌的で、どこまでも広がる広い空に浮かんでいるかのごとく自由さが感じられるつくりとなっている。
 彼らと同じくカントリー・ロックをルーツに持ち、Best Of My Love がナンバー1を獲得し見事にメジャーとなったイーグルスが、くしくも同じ1975年に発表した名盤のタイトル曲、One Of These Nights がアル・グリーンを髣髴とさせるベース・ラインを前面に押し出して、リズムの面白さを表現していたのと似通い、本作でも単にカントリー・フレイバーを利かせるだけではない、隠し味としてR&Bやレゲエの風味を持ち込んでいるのは偶然の一致とはいえ感慨深い。
 さて、そのまさに粒ぞろいといえるサウンド・クリエイションの結果を順に見ていこう。
・Keep On Tryin'
 ティモシー作。オープニングの「必殺」ハーモニー・ワークは、やはり聴きごたえがある。ティモシーの透明感のあるヴォーカルは、何物にも変えがたいすがすがしさが。シングル曲として真っ先にカットされたのもうなずける佳曲だ。
・Lovin' Arms
 ほんの少しだけ歪んだバンジョーとアップテンポのフィドルが印象的。一発録りを思わせるラフさがある。エンディングの笑い声がこの曲の底抜けの明るさを象徴しているといえよう。このアルバムでは数少ないカントリー・テイストいっぱいの曲である。アルバム・タイトルはこの曲の歌詞から取られた。ラスティ作。
・Let Me Turn Back To You
 まさにポール・コットン節。ややコブシを利かせたハイトーン・ヴォーカルもそれは美しく冴え渡る。ラスティのべダル・スティールがカウンター気味のメロディ・ラインを奏で、中盤ブリッジおよびエンディングでのエレクトリック・ギターとの掛け合いもすばらしい。
・Makin' Love
 スローなオープニングから一転、軽快なロックン・ロールを聴かせるかと思いきや、さらに猫の目のように変幻自在とテンポを切り替える。リッチー・フューレーの曲?と錯覚に陥る一瞬もあるほどドラマチックな展開を演出。ジョージのタメのきいた3連叩き込みも、それは見事である。ラスティ作。
・Down In The Quarter
 ウィンド・チャイムのイントロの後にすぐにポールによる低音がかぶさり、ずっしりとした手ごたえのあるスケールの大きな曲。ジミー・ハスケル指揮によるストリングをフィーチャーして、ゆったりとしたロッカバラードがポールらしさを際立たせている。
・Sittin On A Fence
 短いベースソロから、ジョー・ララ風のパーカッションとエレクトリック・ギターを徐々にオーヴァー・ダブさせていき、アップテンポに切り替えるノリのよさが心地よい。うねるように弾むティモシーのベースも聴きモノのひとつ。ラスティ作。
・Georgia, Bind My Ties
 ブルース・ロック色のやや濃い、本アルバム中ではどちらかといえば異色の作品。ポールのリード・ヴォーカルもカッティングもそれぞれ大変に軽快で、ダンサブルですらある。ポールの元同僚カル・デイヴィッドが得意としそうなナンバー。
・Us
 シールズ&クロフツを髣髴とさせる、「中近東的な旋律」と形容してしまいたくなるようなバンジョーに乗せ、このアルバムでは最短の曲でありながらさまざまなフレーズをコンパクトにまとめている。サビの分厚いコーラスもグッド。
・Flying Solo
 まさにティモシーの独壇場、と言い切ってしまえるほど、たとえインスト曲だったとしても一発で彼の曲とわかってしまうコード進行が本当に秀逸である。
・Dallas
 ベッカー/フェイゲンのカヴァー。フルにフィーチャーされているペダル・スティールが、カントリー色を持ちつつも、ブリッジで聴かれるようにそのリフは洗練されており、幾分厚めに乗っているストリングスがそれにアクセントをつける。余談だが、この時期のスティーリー・ダンもまだカントリー・ロック系のナンバーを演っていたのを想起させてくれる。
・I'll Be Back Again
 後年発表されたティモシーの各ソロの作風にもっとも近い、軽快すぎるほど軽快なロック・テューン。サビなどでシロホンを使うなどこれまでにない斬新な試みもあり、聴く者を思わずニヤリとさせる。
(Dash)



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